どんなゲーム機?
「外出先でも遊べる備え付けゲーム機」というハイブリッドな位置付けで、WiiU の低迷時期を乗り越えて満を持して発売されました。
外出先は持ち歩いてプレイ、家庭内はスイッチドッグ接続でTVでプレイとどちらでも遊べるのが最大の特徴です。今まで据え置きの家庭用ゲーム機と携帯ゲーム機はどっちか片方だけで、両方一緒にならないものでしたが、両方の要素を兼ね備えたハイブリッドデバイスとして注目を現在まで長く集めて、この革新的な概念はゲーム業界全体に新たな波を巻き起こしました。
さらに Joy-Con と呼ばれるコントローラは左右分離着脱可能で、外出先でも最大 2 人の同時プレイが可能で場所を選ばないで「携帯機だけどみんなで遊ぶ」という方針が最大限に散りばめられています。逆にいうと、革新的だけど今までのゲーム機と友達や家族との楽しい時間を過ごすことができるデバイスとしても芯が通っています。
任天堂は新しいゲーム機が出ると毎回新しいゲーム体験を提供していましたが、今回は最大の衝撃だったと思います。
仕様・スペック
項目 | サブ項目 | 内容 |
---|---|---|
製品名 | Nintendo Switch | |
メーカー | 任天堂 | |
発売日 | 2017 年 3 月 3 日 | |
価格 | 29,980 円 (税別) | |
コードネーム | NX | |
OS | Nintendo Switch System Software | |
CPU | 製品名 | Nvidia 省電力版 Tegra X1 |
コア | ARM Cortex-A57 × 4 ARM Cortex-A53 × 4 | |
コア数 | 8 | |
クロック | 1.020 GHz / コア | |
メインメモリ | メインメモリ | 4GB LPDDR4 (2GB モジュール ×2) |
クロック | 1600 MHz | |
帯域幅 | 25.6 GB/s | |
グラフィックス | 製品名 | Nvidia GM20B (Maxwell コア) |
クロック | ドッキング時 307.2 〜 768MHz 単体使用時 307.2 〜 384MHz | |
最大解像度 | 1920×1080 ドット | |
ストレージ | 内蔵ストレージ | 内蔵フラッシュメモリ 32GB (最大 2TB までサポート) |
外部ストレージ | microSD/microSDHC/microSDXC | |
ディスプレイ | ディスプレイ | 6.2 インチ液晶 |
解像度 | 1280×720 ドット | |
タッチパッド | 静電容量方式タッチスクリーン | |
ネットワーク | 無線 | 802.11 a/b/g/n/ac |
有線 | 市販の USBLAN アダプターが使用可能 | |
コントローラー | 製品名 | ジョイコン (Joy-Con L / Joy-Con R) |
無線通信 | Bluetooth 3.0 / NFC(Joy-Con R のみ) | |
質量 | Joy-Con L 約 49g Joy-Con R 約 52.1g | |
センサー | 加速度センサー | |
サイズ | 縦 102mm× 横 239mm x厚さ 13.9mm(Joy-Con 取り付け時※) |
スペック解説
CPU
アメリカの半導体メーカー NVIDIA と共同開発を行ったカスタマイズされた「Tegra X1」プロセッサを採用しています。このプロセッサはARMアーキテクチャを採用した高性能なCPUとGPUを組み合わせたもので、コンパクトながらもパワフルなゲームプレイを実現しています。ARMアーキテクチャのCPUは、intel/AMDが販売するx86アーキテクチャプロセッサよりも電力効率が非常に優れており、モバイルモードでも長時間のゲームプレイを可能にしているのもこのおかげです。
ファミコン・スーパーファミコンや Nintendo64 等、既存のプロセッサをベースにして独自チップを設計してきていましたが、今回は既存プロセッサ「Tegra X1」のアーキテクチャそのままで特に独自設計ではなく、その中でも不要機能排除や省電力化した下位(デグレード)版を使用しています。
「Tegra X1」は ARM の 64 ビットプロセッサ ARM Cortex-A57 × 4、ARM Cortex-A53 × 4 のオクタコア(8 コア)で構成されており、GPU も統合された 1 チップ型(SoC)のプロセッサです。実は PC だけではなく、 Google の Android タブレット「Pixel C」でも同様のプロセッサが採用されています。
このことから色々なことが推測されますが、一般的には既存品を使用することで「開発期間が短く、ローコストに作れる」ことが最大のメリットとなります。
ちなみにARMアーキテクチャを採用しているプロセッサは意外に身近にあります。例えば以下の製品は以下のARMアーキテクチャを採用しています。ほぼ同世代なので兄弟機と言っても過言ではないです。
プロセッサ名 | ARMファミリ/アーキテクチャ | 採用製品 |
---|---|---|
NVIDIA Tegra X1 | ARMv8-A | Nintendo Switch |
ARM Cortex-A78C | ARMv8-A | Google Chromebooks |
Qualcomm Snapdragon 888 | ARMv8.2-A | Samsung Galaxy S21, OnePlus 9, Xiaomi Mi 11 |
Samsung Exynos 2100 | ARMv8.2-A | Samsung Galaxy S21 Ultra |
Apple A14 Bionic | ARMv8.4-A | iPhone 12, iPhone 12 Mini, iPhone 12 Pro, iPhone 12 Pro Max |
Apple M1 | ARMv8.4-A | MacBook Air (2020), MacBook Pro (2020), Mac mini (2020) |
Nintendo Switch のチップ解剖から考えるデグレード版 Tegra X1 を選んだ理由 (1/3) – http://eetimes.jp/ee/articles/1703/29/news022.html
NVIDIA の Tegra を採用する任天堂の新ゲーム機「Nintendo Switch」 – http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1026659.html
CPU のここが凄い!
低消費電力でありながら、8 コアの CPU でいろんな処理を同時にこなす能力があること!
「下位版」「デグレード版」というのは性能も低く機能が少なくなるので悪いイメージがあるけれど、ゲームに必要ない部分を抜いて熱や消費電力を抑えている。それ以外にもチップの構成がシンプルになるので、価格も安くすることができる。
PC レベルの性能なのに定価 3 万円で販売できるのは、このようなシンプルにする工夫があったからと言える。
グラフィック
「Tegra X1」を採用しているため、CPU と一緒に GPU が同チップ内に搭載されています。そのグラフィックコアは nVidia「Maxwell」コアが搭載されており、世代的には PC 向けグラフィックチップ「GeForce GTX 980 Ti」等の 900 番台と同世代のプロセッサです。
デグレード版であるため従来の製品と比較して性能低下は免れませんが、HD 画質以下がメインとなるため性能低下を感じさせることはほとんどありません。さらに PC 用グラフィックとして開発された Maxwell で使用できる補完機能等で綺麗な表現ができる他、機能も 4K 出力、x265 ハードウェアエンコード・デコード等、省電力にも関わらず従来品に匹敵するポテンシャルがあります。
モバイルゲームプレイでは720pの解像度、テレビ接続時のゲームプレイでは1080p(フルHD)での解像度をサポートしているのもこのプロセッサのおかげです。
グラフィックのここが凄い!
全然携帯機向けじゃないハイスペック性能を実現していること!
「スプラトゥーン」シリーズや「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」などのプレイ画面を見ると、PC の性能に匹敵するどころかそれよりも優って綺麗に見える。
PC 向けに作られたグラフィックチップを CPU といっしょに1つのチップの中に入れることで CPU とグラフィックの間の通信経路にボトルネック(無駄)がなくなるだけでなく、圧倒的に価格が安くなる。性能も良いのに価格も安いという良いことづくめの設計になっている。
メモリ
Nintendo Switchは4GBのLPDDR4メモリを搭載しています。このメモリは、PC等で使用されているDDR4メモリの低電圧版で、低消費電力でありながら高速なデータ転送が可能です。メモリ管理の効率性も向上させ、ゲームのロード時間を最小限に抑えています。
メモリのここが凄い!
PCと同じ DDR4 メモリを採用していること!
PCと同じメモリを採用していることで大量に生産されておりメモリのコストを安くするのと、性能そのままで使用電力も少なくゲームのロード時間を最小限に抑えている。
ゲームのロード時間が短いというのはかなり重要で、昔のプレイステーションの起動時間のストレスがなく、もっと昔のファミコンのようにすぐ起動できるのはゲームを遊ぶ上でかなり重要。
通信
Nintendo Switchは、無線LAN(IEEE 802.11 a/b/g/n/ac)とBluetooth 4.1を標準装備しています。これにより、オンラインマルチプレイやソフトウェアのダウンロード、システムアップデートなどが可能になっています。頻繁にシステムアップデートやソフトのアップデートがあってもこの通信機能により、簡単に最新の状態に更新することができるのはもうすでに実感していると思います。
Bluetooth 4.1を搭載しているので近くのSwitchとの直接通信も可能で、ローカルマルチプレイも楽しむことができます。あまり知られていませんが、blueetoothのヘッドセットやスピーカー、他社のゲームコントローラ、キーボード、マウスなどの周辺機器も接続できるので、ゲームプレイやそれ以外でも活用できます。
Nintendo Switchに接続できる無線キーボードとマウス – https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/todays_goods/1332870.html
通信のここが凄い!
無線LANとBluetooth 4.1を標準搭載していること!
もはやあって当たり前の無線LANと、コントローラやそれ以外の周辺機器が全て無線で接続できるBluetoothを両方持っているので何も考えずにゲームプレイや拡張ができる。
今までは独自実装などが標準だったので、周辺機器の選択肢が非常に限られていた。
メディア
Nintendo Switchでは、ゲームソフトはカートリッジ形式の「Nintendo Switchゲームカード」で提供されています。また、Nintendo eShopから直接ダウンロードすることも可能です。ゲームカードは、ディスクメディアと比べて読み込み速度が速く、携帯性に優れています。
ゲームカードだからと言って特別遅くはありませんがゲームを切り替える際はたカードを差し替える必要があります。eShopでソフト購入した方が内部ストレージやSDカードにインストールされ一覧になって切り替えて遊べるので、コロナ禍以降は特にゲームカードを挿入する必要がないeShop経由の方が便利で利用されています。
メディアのここが凄い!
ゲームカードとダウンロード版の両方に対応していること!
ゲームカードは性能が低いことがよくあったが、今回は性能が低くないのでゲームカードでも十分な性能が出せる。それだけじゃなくて、ダウンロード版もあるのでゲームカードを持ち歩かなくてもいいのはかなり便利。
今まではどっちかしかなかった。(PSPとPSPgoみたいな)
ストレージ
内蔵ストレージとして32GBのフラッシュメモリを搭載しており、追加のストレージスペースが必要な場合は、microSDカードスロットを利用して最大2TBまでのmicroSDカードを使用することができます。(microSDXC使用時)
microSDカードについて – https://www.nintendo.co.jp/support/switch/data_management/microsdcard/index.html
ストレージのここが凄い!
標準ストレージでもそこそこ十分だけど、さらにmicroSDカードをサポートしていること!
32GBのストレージはそこそこ大きいけど、ゲームダウンロード派の人にはすぐにいっぱいになる。そんな時に高性能なmicroSDカードを使えば、高速接続のままさらに大容量のストレージを追加できる。(microSDXC使用時は最大転送速度170MB/sで最大容量2TBまでOK)
Nintendo Switchは全体的にどちらかだけ採用いうよりは両方をサポートしているのがすごく利便性も高くてユーザーにも優しくて特徴的。
各モデルについて
HAC‐001 Nintendo Switch |
スイッチゲーム機のスタンダードモデル、TVモードでも遊べる。 32,978円(税込) 基本スペック ・高さ102×幅239×厚さ13.9mm/重さ約398g ・6.2インチ(液晶) ・TVモード/テーブルモード/携帯モード ・充電/テレビ接続 ・固定式スタンド付属 ・本体容量32GB ・バッテリー持続時間 約2.5~6.5時間 |
Nintendo Switch Lite |
Nintendo Switch」本体とJoy-Conを一体化させ、携帯モードへと特化させた廉価モデル。 2019年7月10日発売 21,978円(税込) 基本スペック ・ポップな5色から選べる ・高さ91.1×幅208×厚さ13.9mm/重さ約275g ・5.5インチ(液晶) ・携帯モード(別途Joy-Conを購入するとテーブルモードにも対応) ・本体容量32GB 変更点 ・TegraX1プロセッサを20nmプロセスから16nmプロセスへ微細化 ・メモリをLPDDR4からLPDDR4Xへ変更 |
HAC‐001(‐01) Nintendo Switch |
マイナーチェンジモデル。公式名称は「バッテリー持続時間が長くなった新モデル」 2019年7月17日 32,978円(税込) 旧型Nintendo Switch(HAC-001)と比べると、バッテリーの持続時間が長くなっています。 ・TegraX1プロセッサを20nmプロセスから16nmプロセスへ微細化 ・メモリをLPDDR4からLPDDR4Xへ変更 ・バッテリー持続時間 約4.5~9.0時間 |
HEG‐001 Nintendo Switch(有機ELモデル) |
本体の液晶画面が有機ELとなり、追加機能の搭載やデザインを刷新した上位モデル 2021年7月6日発売 37,980円(税込) 有機ELディスプレイで7インチ大画面を搭載、有線LAN接続に標準対応 高さ102×幅242×厚さ13.9mm/重さ約420g 7.0インチ(有機EL) TVモード/テーブルモード/携帯モード 充電/テレビ接続/有線LAN接続 フリーストップ式ワイドスタンド 本体容量64GB 変更点 ・本体容量を32→64GBに倍量化 ・背面スタンドの大きさを拡大し、好きな角度で固定できるフリーストップ式を採用 ・スピーカーを開放型から密閉型に変更 ・付属のドックに新たに有線LAN端子を搭載(それに伴いUSB端子が1つ廃止) ・HDMIケーブル、電源ケーブル、有線LANケーブルの取り回しの関係からドックの溝の形状を変更 ・HDMIケーブルは従来のモデルおよびWii Uで採用されてきたHDMI1.4b対応のケーブル(型番:WUP-008)から新たにHDMI2.0対応のケーブル(型番:HEG-005)に変更 |