どんなゲーム機だった?
Xboxが登場する前、ソニーのPlayStation2/任天堂のGameCube/セガのDreamCastという三つ巴の構図でした。ですが、DreamCastの撤退と入れ替わりのタイミングで発売されたのがこのMicrosoftのXboxでした。
パソコン市場ではWindowsのMicrosoft、CPUとチップセットのIntelという最大勢力が市場を席巻していましたが、まさかのゲーム機市場参入により当時は日本のゲーム機が終わるとまで噂され、ゲーム機の「黒船」と発売まで恐れられていました。
発売後は世界を見ると販売数としては悪くありませんが、日本においてはキラーソフトの無さや、ディスクに傷がつく問題によるリコールなどにより販売数自体は低迷していました。その後、後継機のXbox360では専売の日本製ゲームソフトのヒットにより日本でもシェアを広げることになります。
仕様・スペック
製品名 | Xbox | |
メーカー | Microsoft | |
CPU | 製品名 | Intel Mobile Celeron (Coppermine-128Kコア) |
動作クロック | 733MHz | |
FSB | 133MHz | |
マルチメディア拡張命令 | MMX / SSE(ストリーミングSIMD拡張命令) | |
キャッシュ | L1キャッシュ: 8KB L2キャッシュ: 128KB |
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メインメモリ | メインメモリ | DDR SDRAM |
メモリ容量 | 64MB | |
バンド幅 | 6.4GB/秒 | |
グラフィック | 製品名 | Xbox Graphics Processing Unit (XGPU) |
コア | nVidia GeForce3ベース | |
クロック周波数 | 250MHz | |
ピクセル・フィルレート | 3.7Gピクセル/秒 (37億ピクセル/秒) | |
ポリゴン描画性能 | 125Mポリゴン/秒 (1億2500万ポリゴン/秒) | |
同時テクスチャ | 4 | |
テクスチャ圧縮 | あり(6:1) | |
最大解像度 | 1920×1080. | |
ビデオメモリ | メインメモリと共有 | |
サウンド | サウンド | Xbox Media and Communications Processor (MCPX) 内蔵 |
同時発音数 | 256 | |
最大チャンネル数 | 5.1ch | |
機能 | ハードウェア 3Dサラウンドサウンドリアルタイム合成 | |
ドライブ | 対応ディスク | CD-ROM/DVD-ROM |
対応フォーマット | DVD-ROM CD-DA(音楽CD) DVD-Video |
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ドライブ性能 | DVD-ROM 5倍速 | |
インターフェイス | 製品名 | Xbox Media and Communications Processor (MCPX) |
USB | USB1.1 | |
イーサネット | 10M/100M イーサネット | |
Sub-BUS | 32ビット | |
記憶媒体 | 8GBハードディスク 8MBメモリーカード |
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コントローラポート数 | 4 |
スペック解説
CPU
ゲーム市場初参入にして衝撃のIntelプロセッサ採用。ゲーム業界では汎用部品を独自に構成していく手法が多かった。しかし、Microsoftはどこよりもノウハウがあるx86アーキテクチャをそのまま採用した。PC業界ではCPU・OSそれぞれトップのIntel・Microsoftがそれぞれの得意分野で長いこと関係してることもあって、採用も不思議ではない。
プロセッサは「PentiumIII」の下位版でキャッシュが128KBに削減されている製品を採用。これはコスト面で有利となる。リテール版「PentumIII」でキャッシュチェックに引っかかったものを一部キャッシュを無効にすることで異常が無くなり、「ダウングレード版」して格安で卸すことができるためである。この方法は昨今の汎用プロセッサでは当たり前になっており、今までのゲーム機はゲーム機専用にプロセッサを開発しているためダウングレード化しても卸す先がない。つまり在庫が生まれるリスクとコスト高につながる。在庫がなくなるIntelにとっても、安く仕入れられるMicrosoftにとっても双方win-winの関係となる。ゲーム機でこの方法を行ってコスト削減したのは初めてである。
グラフィック
グラフィックもPC業界で接点のあるnVidia社のグラフィックプロセッサを採用。「GeForce3」の改良版の位置づけのため、性能もGeForce3~GeForce4の中間程である。
スペックを生かすため、D端子にいち早く対応してハイビジョンTVで高画質ゲームを楽しめるのも特徴。
メモリ
UMA(Unified Memory Architecture)を採用している。UMAはCPUとグラフィックのメモリを共有して使用する構造。
昔は共有することで帯域が枯渇するためパフォーマンス低下が懸念されていたが、6.4GB/sもの広帯域になると、共有することで双方とも個々に用意するよりパフォーマンスも上がりコストも下がるため採用したと思われる。
実際、同スペックのPCよりもボトルネックがないためパフォーマンスが高くなっている。
通信
標準で100Mbpsイーサネットポート(LANポート)が搭載されている。標準でネットワークが使用できるゲーム機はドリームキャスト以来2種目となる。ネットワークゲームが得意なMicrosoftにとっては必須機器といえる。
メディア
メディアはDVD-ROMを採用。ドライブはフィリップス製の5倍速ドライブ。発売当初、プレイするとメディアの外周に薄い擦り傷がつくという問題が発生したがマイクロソフト日本法人がすぐに本体・メディアを新品に交換するという万全な対応で沈静化していった。しかしこの問題の懸念を拭えず、本体の売れ行きが大幅に下がってしまった。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20020308103.html
ストレージ
標準で8GBのハードディスクが搭載され、ゲームのインストール・セーブデータの保存などに使うことができる。また、音楽CDをXbox内に保存することもでき、ソフトによってはゲーム内でその音楽を再生することも可能。
他のゲーム機に比べ、本体価格がやや高いのはハードディスクのコストが幅を利かせているからである。プロセッサなどの半導体系なら微細化や統合化で価格を下げられるが、ハードディスクは機械製品のため、コストを安くしようにも容量削減か大量発注以外できない。