Xbox の凄いスペックまとめ

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どんなゲーム機だった?

Xboxが登場する前、ソニーのPlayStation2/任天堂のGameCube/セガのDreamCastという三つ巴の構図でした。2001年にDreamCastが製造停止と発表され撤退と入れ替わるようなタイミングで発表・発売されたのがこのMicrosoftのXboxでした。

マイクロソフト、『Xbox』を2002年2月22日に発売 – http://ascii.jp/elem/000/000/325/325626/index.html

Xboxの秘密のベールを剥ぐ「Opening the Xbox」- https://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0523/kaigai01.htm

当時のパソコン市場はWindowsのMicrosoft、CPUとチップセットのIntelという最大勢力が市場を席巻していました。 Microsoftのまさかのゲーム機市場参入により当時は日本のゲーム機が終わるとまで噂され、ゲーム機の「黒船」と発売まで恐れられていました。

その恐れていたことが現実になるように、この初代Xboxの登場でそれまでのゲーム機市場に大きな変化が起きました。マイクロソフトはPCの世界からその技術をそのまま持ち込んで、XboxにはPCと同等レベルの強力なハードウェアパフォーマンスと、DirectXという当時の最先端のグラフィックAPIが搭載されていました。 2023年現在のPS4/5やNintendo Switch、Xbox One/Xbox Series X全てがPCの技術をベースにして構成しています。

Xboxにイーサネットポートが標準装備されていたので、マイクロソフトのオンラインゲームサービス「Xbox Live」も、オンラインゲームという新たなゲーム体験への始まりだったと言えそうです。(DreamCastもモデムがありましたがダイアルアップ接続だったので、テレホーダイタイムを謳歌できていた人以外は限定的だったような個人的な印象です)

発売後は世界を見ると販売数としては悪くありませんでした。実際、2005年に日本以外全てで初めてゲーム関連事業は単年度黒字を達成しました。日本市場だけが苦戦していたというのが実情です。 日本においてはキラーソフトの無さや、コンパクトPCをそのまま横にしたようなサイズの大きさなど日本に受け入れづらい部分があったり、またディスクに傷がつく問題によるリコールなどにより販売数自体は低迷していました。

その後、後継機のXbox360では専売の日本製ゲームソフトのヒットにより日本でもシェアを広げることになります。

『Xbox』でディスクに傷がつく問題で、MS日本法人が対応 – https://wired.jp/2002/03/08/%E3%80%8Exbox%E3%80%8F%E3%81%A7%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%AB%E5%82%B7%E3%81%8C%E3%81%A4%E3%81%8F%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%A7%E3%80%81ms%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B3%95%E4%BA%BA%E3%81%8C/

仕様・スペック

製品名Xbox
メーカーMicrosoft
CPU製品名Intel Mobile Celeron (Coppermine-128Kコア)
動作クロック733MHz
FSB133MHz
マルチメディア拡張命令MMX / SSE(ストリーミングSIMD拡張命令)
キャッシュL1キャッシュ: 8KB, L2キャッシュ: 128KB
メインメモリメインメモリDDR SDRAM
メモリ容量64MB
バンド幅6.4GB/秒
グラフィック製品名Xbox Graphics Processing Unit (XGPU)
コアnVidia GeForce3ベース
クロック周波数250MHz
ピクセル・フィルレート3.7Gピクセル/秒 (37億ピクセル/秒)
ポリゴン描画性能125Mポリゴン/秒 (1億2500万ポリゴン/秒)
同時テクスチャ4
テクスチャ圧縮あり(6:1)
最大解像度1920×1080
ビデオメモリメインメモリと共有
サウンドサウンドXbox Media and Communications Processor (MCPX) 内蔵
同時発音数256
最大チャンネル数5.1ch
機能ハードウェア 3Dサラウンドサウンドリアルタイム合成
ドライブ対応ディスクCD-ROM/DVD-ROM
対応フォーマットDVD-ROM, CD-DA(音楽CD), DVD-Video
ドライブ性能DVD-ROM 5倍速
インターフェイス製品名Xbox Media and Communications Processor (MCPX)
USBUSB1.1
イーサネット10M/100M イーサネット
Sub-BUS32ビット
USBUSB1.1
イーサネット10M/100M イーサネット
Sub-BUS32ビット
記憶媒体8GBハードディスク
8MBメモリーカード
コントローラポート数4

スペック解説

CPU

ゲーム市場初参入にして衝撃のIntelプロセッサ採用はゲーム業界ではやはり衝撃的でした。(今までは各社が)

ゲーム業界では汎用部品を独自に構成してプロセッサを作成し、ゲームを作るソフトも一緒に用意してプラットフォームを用意する手法が多かったのですが、Microsoftはどこよりもノウハウがあるx86アーキテクチャをそのまま採用しました。PC業界ではCPU・OSそれぞれトップのIntel・Microsoftがそれぞれの得意分野で長いこと関係してることもあって、採用も不思議ではないのですが「本当にやるんだ!?」という感想が多かった印象です。

採用されているプロセッサは「PentiumIII」です。PCでもハイスペックなこのCPUは、複雑なゲームロジックとAIを高速に処理することが可能でした。特に当時のゲームは、3D環境や物理演算が増えてきた頃なのでその処理を担当するCPUの性能は重要でした。ハイスペックなのは凄く高評価だったのですが、発熱や消費電力が大きく、それを冷却するためのファンも大きくなり、それが騒音になるという問題がありました。後述しますが、

の下位版でキャッシュが128KBに削減されている製品です。リテール版「PentumIII」でキャッシュチェックに引っかかったものを一部キャッシュを無効にすることで異常が無くなり、「ダウングレード版」して格安で卸すことができるので、ゲームとして影響な無いと判断してコストとしてかなり有利でした。

実はこの方法は汎用プロセッサでは当たり前になっている販売方法で、例えばIntelは「Core i7」の下位版を「Core i5」「Core i3」や 「Pentium」 「Celeron」として販売しています。名前は違うけれど中のシリコンのコアは同一のもので、エラーが起きたものをキャッシュやクロック数を下げているだけです。

今までのゲーム機はゲーム機専用にプロセッサを開発しているためダウングレード化しても卸す先がないので、スペックを満たさないプロセッサは在庫にする必要もないので廃棄するしか無くなります。そうするとうまくプロセッサが作れないとコスト高に直結する問題がありました。そういう在庫がなくなるIntelにとっても、安く仕入れられるMicrosoftにとっても双方win-winの関係となったのがまさに最強でした。この方法をゲーム機で行ってコスト削減したのはこれが初めてです。

 CPU のここが凄い!

初ゲーム機なのにパソコン向けCPUを突っ込んできて全ゲーム機を葬ろうとするレベルの性能があること!

ハイスペックなCPUを積んでFPSゲームやオンラインゲームなど色々なことを初めてできるようにしたことで、黒船襲来と言えるとともにPC業界からのゲーム機への本気が伺える。

グラフィック

グラフィックもPC業界で接点のあるnVidia社がカスタムデザインした「NV2A」GPUを採用しました。「GeForce3」の改良版の位置づけのため、性能もGeForce3~GeForce4の中間程で当時としては結構良い部類に入ります。

このGPUはDirectX 8.1相当のグラフィックスAPIをサポートしていました。これにより、開発者はPCゲーム開発のリソースをそのままを活かして、短期間で高品質なゲームを制作することが可能になりました。ゲーム機ごとに開発プラットフォームが異なる他社とは全然違うアプローチでした。

このハイスペックを生かすため、D端子にいち早く対応してハイビジョンテレビで高画質ゲームを楽しめたのも特徴でした。

 グラフィック のここが凄い!

PC向けグラフィックチップを提携して改良設計してパワーとコストとを両立したこと!

ハイスペックなCPUを積んでFPSゲームやオンラインゲームなど色々なことを初めてできるようにしたことで、黒船襲来と言えるとともにPC業界からのゲーム機への本気が伺える。

メモリ

システムメモリは64MB DDR SDRAMを搭載しています。これにより大容量のゲームデータを迅速に読み込んで処理することが可能でした。また、メモリの帯域幅も広く、高解像度のテクスチャや大規模な3Dモデルの描画も可能でした。これにより、ゲームの視覚的なリッチさを大幅に向上させることができました。

CPUとグラフィックのメモリを共有して使用する、UMA(Unified Memory Architecture)という構造を採用しています。普通はGPU用に超高速のメモリを用意するのですが、コストが爆上がりするので、CPU用のメモリを共有して使用することでコストを抑えています。この構成の場合、最先端のDDRSDRAMをデュアルチャンネルで使用することで、最大6.4GB/sの帯域を確保しており、個別にGPU用のメモリを用意する必要がないくらい広帯域でむしろ都合が良かったのです。

実際、同等スペックのPCよりもボトルネックがないためパフォーマンスが高くなっているベンチマークも存在していました。(ソース元欠如)

 メモリ のここが凄い!

当時のゲーム機の中では最大容量で最速のメモリを積んでいたこと!

大量のゲームデータを迅速に読み込み、大規模で詳細なゲームワールドの生成、複雑なAIの計算、高解像度のテクスチャの描画などを可能にしたことで、ゲームの視覚的なリッチさを大幅に向上させることができた。

通信

標準で100Mbpsイーサネットポート(LANポート)が搭載されているので、何も追加で買う必要がなくオンラインゲームが楽しめます。標準でネットワークが使用できるゲーム機はドリームキャスト以来2種目ですが、ブロードバンド対応は実質初です。ネットワークゲームが得意なMicrosoftにとっては必須機器だったと言えます。

オンラインゲームサービス「Xbox Live」は、フレンドリストやボイスチャット、マルチプレイマッチメイキングなど、後のゲーム機の標準的な機能を初めて提供しました。PCゲーム以外で寝ずにオンラインゲームに没頭するゲーマーが出てきたのもこのサービスがきっかけかもしれません。

 通信のここが凄い!

今となっては当たり前のオンラインゲームの土台全てを初めて標準で提供したこと!

イーサネットによるブロードバンド接続対応で、当たり前のように使っているフレンドリストやボイスチャット、マルチプレイマッチメイキングなどはもうすでにこの時から始まっていた。

メディア

メディアは大容量のDVD-ROMを採用しており、ドライブはフィリップス製の5倍速ドライブが搭載されていました。映画などのDVDビデオの再生もできますし、音楽CDの再生も可能で、ユーザーが自分の音楽をXboxに取り込んで保存して聴くこともできました。SONYがやりたかったリビングのマルチメディア化構想を格安で実現してしまったという感じです。

発売当初、プレイするとメディアの外周に薄い擦り傷がつくという問題が発生したがマイクロソフト日本法人がすぐに本体・メディアを新品に交換するという万全な対応で沈静化していきましたが、この問題の懸念を完全に拭い去ることはできず、本体の売れ行きが大幅に下がってしまったという経緯があります。

 メディアのここが凄い!

DVD採用はPS2に次いで2番目だけど、5倍速のDVDドライブを搭載して読み込みが速かったこと!

ゲームの大容量化でDVD採用は免れなかったけど、DVDの読み込み速度が速いことでストレスだったゲームのロード時間が短くなり、ゲーム全体の進行がスムーズになった。

ストレージ

標準で8GBのハードディスクが搭載され、ゲームのインストール・セーブデータの保存などに使うことができました(別売りメモリカードがありますが実質不要)。またダウンロードコンテンツやゲームの読み込み速度を向上させるためのディスクキャッシュとしても利用されました。

他のゲーム機に比べ、本体価格がやや高いのはスペックの高さと同時にハードディスクのコストがどうしてもあったからです。プロセッサなどの半導体系なら微細化や統合化で価格を下げられますが、ハードディスクは1つの機械製品のため、コストを安くしようにも容量を削減してしまうか大量発注以外手法がありませんでした。

でもこのハードディスクがあったことで、ゲームをインストールしてDVDの読み込みよりも高速で快適にゲームプレイができたので、結果的にはコストパフォーマンスは高かったと言えます。

 ストレージのここが凄い!

標準で8GBのハードディスクが搭載されていたこと!

ゲームのインストールやセーブデータの保存などに使えるハードディスクは、ゲーム機にとって初めてだった。ダウンロードコンテンツの保存にも使えたので、初めてゲームをオンライン経由で拡張できたのも大きい。

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