SEGA SATURN の凄いスペックまとめ

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どんなゲーム機?

セガサターン(Sega Saturn)は、日本のセガ(後のセガゲームス)が1994年に発売した家庭用ゲーム機で、1990年代半ばのゲーム業界を代表する機種のひとつでした。この時期は家庭用ゲーム機の世代交代が進行中で、多くの企業が新しいハードウェアをリリースしていました。

32bit機戦争期(1994〜1996年)

  • 松下電器 3DO : 1994/10/4 発売 (ゲーム機最初の32bit機)
  • セガ セガサターン(Sega Saturn): 1994/11/22 発売
  • SONY プレイステーション(PlayStation): 1994/12/3 発売
  • 任天堂 Nintendo 64: 1996/6/23 発売 (ゲーム機最初の64bit機)

セガサターンはこの中で、特にハードウェアのパワーとソフトウェアの豊富さで知られていました。

セガサターンはその名が示す通り、セガの惑星シリーズの一部で、その前身はセガメガドライブ(海外ではSega Genesisとして知られている)で、その後継機種はセガドリームキャストとなります。サターンの特徴は2つの主要なプロセッサを搭載していたことで、これは他の多くの家庭用ゲーム機とは一線を画していました。これにより、サターンは高度な3Dグラフィックスと複雑なゲームプレイを可能にしました。しかし、このデュアルプロセッサアーキテクチャは、開発者にとっては大きな挑戦でもありました。2つのプロセッサを効果的に活用するためには、ソフトウェアを丁寧に最適化し、複雑なプログラミング技術を駆使する必要がありました。

発売前、セガサターンに対する期待は高まっていました。セガの前作、メガドライブは成功を収めており、サターンはその成功を引き継ぐと期待されていました。また、3Dゲームが次世代の主流となると広く認識されており、サターンはその頂点に立つと予想されていました。しかし、発売当初は多くの問題に直面しました。その一つが、2つのプロセッサをうまく活用できないという開発者からの声でした。また、サターンが発売された当時、ゲーム市場は激変しており、新しいプレイステーションという強力な競争相手が登場していました。これらの要素が組み合わさり、サターンの売上げは期待に及ばないものでした。

しかし、セガサターンは後年、その独自性と高品質なゲームライブラリによりカルト的な人気を博しました。特に日本では、その豊富なゲームライブラリと、多くのアーケードゲームの移植版が存在することで評価されています。さらに、サターンの独特なハードウェア設計は、プログラミングとゲームデザインにおける新たな可能性を開くきっかけとなりました。2つのプロセッサを活用するための複雑なプログラミング技術は、その後のゲーム開発に大きな影響を与えました。これは、現在のゲーム機でも多核プロセッサが標準的になっていることを考えると、特に注目に値します。

サターンのリリース当時、パソコンの主流スペックは486DX2またはPentium 60MHz程度で、メモリは8MBから16MB、ハードディスクは数百MBというレベルでした。グラフィックスは2Dが主流で、3Dはまだ一部の高価なPCでしか実現できない状況でした。そのため、サターンのスペックは当時のPCと比較しても十分に高性能で、3Dゲームをフルカラーで表示できる能力は、家庭用ゲーム機市場に新たな風を吹き込みました。しかし、その複雑さは逆に開発者にとって大きな壁となり、最終的にサターンの成功を妨げる要因となったこともあったようです。

仕様・スペック

製品名SEGA SATURN (型番: HST-3200)
メーカーSEGA
CPU製品名日立 SH2(HD6417095) ×2
(後期型では1チップ型のHD6417098)
CPUコア32ビットRISC CPU
動作クロック28.64MHz
キャッシュ4KB
MIPS25MIPS ×2
メインメモリメインメモリSDRAM
メモリ容量2MB
グラフィック製品名VDP(Video Display Processor)×2
解像度320×224(ノンインターレース)
~704×480(インターレース)
同時発色数24bitカラー(1677万色)
パレット発色2048 / 1024色
テクスチャメモリ1.5MB
ポリゴン表示フラット:90万ポリゴン/秒(最大)
テクスチャ:30万ポリゴン/秒(最大)
画像処理画面表示(VDP2)
1面は拡大縮小回転(2軸)と他の面との半透明表示
ラスタ分割表示可能
動画再生はソフトウェアによる展開(Cinepak・TrueMotionなど)
スプライト機能(VDP1)
拡大縮小、回転、変形サポート
スプライト同士やBG面との半透明合成表示
機能ワイヤーフレーム
フラットシェーディング
グローシェーディング
サウンドサウンドSCSP(Saturn Custom Sound Processor)
+ MC68EC000(11.3MHz)
同時発音数FM/PCM 合計32ch
PCMサンプリングレートDC~44KHz
PCMデータ8/16bit
サウンドRAM512KB
その他32ch エンベロープジェネレータ内蔵
プリスケーラ内蔵8ビットデジタルタイマー内蔵
デジタルミキサー内蔵
ヤマハ製FH-1 DSP
ドライブコントローラチップSH-1(SH7034) 20MHz
バッファメモリ512KB
対応ディスクCD-ROM
対応フォーマットSS用CD-ROM, CD-DA(音楽CD)
ドライブ性能CD-ROM 2倍速(300KB/秒) CLV(線速度一定)
その他外部インタフェースシリアルポート, MIDIインターフェイス
セーブデータ内蔵メモリ, パワーメモリー(拡張スロット)
外形寸法260mm(W)×230mm(D)×83mm(H)
CD-ROM最大容量 570MB
コントローラポート数2
消費電力15W
付属品電源コード、ステレオAVケーブル、取扱説明書、コントロールパッド×1、リチウム電池(CR2032)

スペック解説

CPU

セガサターンのCPUは、2つのHitachi SuperH-2 7604 32ビットRISCプロセッサを搭載していました。RISC(Reduced Instruction Set Computing)は、命令セットを少なく簡素化することでCPUの動作を効率化する(1クロックでの効率が上がる)設計思想で、サターンのCPUはこのRISCアーキテクチャを採用していました。このCPUの最大クロック周波数は28.6MHzで、当時の家庭用ゲーム機としては高速でした。

サターンの最もユニークな特徴の一つは、デュアルCPUアーキテクチャを採用していたことです。2つのプロセッサが並行して動作することで、理論的には一つのプロセッサが動作している時に比べて処理速度が倍増する可能性がありました。しかし、これは並行処理の問題を解決する必要があるという最大の壁を開発者に突きつけた形になりました。2つのプロセッサが互いに干渉せずに効果的に動作するためには、ソフトウェアを丁寧に最適化し、複雑なプログラミング技術を駆使する必要がありました。

しかしこのデュアルCPUアーキテクチャは、サターンのパワフルな3Dグラフィックスと複雑なゲームプレイを実現する上で重要な役割を果たしていました。バーチャファイターの画面のインパクトはテレビでも話題になりました。それぞれのCPUがゲームの異なる側面を担当することで、たとえば一つのCPUがゲームの物理演算を処理し、もう一つのCPUがAIやゲームのロジックを処理する、というようにゲームの負荷を分散することが非常に大事でした。

 CPU のここが凄い!

デュアルCPUで強力な処理能力と高度な3Dグラフィックスを実現していたところ!

今までの家庭用ゲーム機には見られない強力な処理能力と高度な3Dグラフィックスを実現していた反面、開発の難易度が上がりました。

グラフィック

セガサターンは2つの独自設計のビデオディスプレイプロセッサ(VDP1およびVDP2)で構成しています。

  • VDP1: 主にスプライトとポリゴンの描画を担当
  • VDP2: 背景スクロールと2Dオブジェクトの描画を担当

これらのプロセッサは、独立して動作することが可能で、それぞれが特定のタスクに特化しているため、非常に高速なグラフィック描画が可能でした。その結果、サターンは複雑な3Dグラフィックスと多層スクロールバックグラウンドを同時に描画することができました。

また、サターンのビデオディスプレイプロセッサは、リアルタイムでの3Dポリゴン描画にも対応しており、ゲームのシーンはリアルタイムでレンダリングされ、プレイヤーの行動に応じて動的に変化することが可能でした。これは、サターンが提供するリアルなゲーム体験の一部を形成していました。

また様々な特殊効果をサポートしており、透明効果、光源効果、テクスチャマッピングなどの効果が扱えたことで、ゲームの視覚的な印象を大幅に向上させるのに寄与していました。

結果的な話をすると、プロセッサが豊富にあり、同時期に発売されたプレイステーションと比較して性能が良く思われることが多かったようです。しかし、当時キラーソフトとしていた「バーチャファイター」等の3Dポリゴンの表示は、2D向けプロセッサでスプライトを貼り続けて擬似的に3D表示させていたため、スペックで表示している性能数値が出る事はありませんでした。時間が経つにつれちゃんと3D向けプロセッサを持っていたプレイステーションに大きく差を付けられる結果となった経緯もありそうです。

 グラフィックのここが凄い!

驚異的な3D描画能力と豊富な特殊効果を実現して3Dポリゴンゲームを確立したところ!

強力な3Dポリゴン描画能力と、多種多様な特殊効果をサポートしていたことで複雑な3D環境と美しい視覚効果を提供し、プレイヤーにリアルなゲーム体験を提供しました。

メモリ

セガサターンのメモリは豊富とは言えませんが、その構成は非常に効率的でした。サターンは以下のメモリを搭載していました。

  • メインRAM:2MB ゲームの主要なプログラムとデータを格納する。
  • ビデオRAM:1.5MB グラフィックスデータを格納する。このRAMに格納されたデータは直接ビデオディスプレイプロセッサによって描画される。
  • サウンドRAM:540KB 音声データを格納する。このRAMに格納されたデータは直接サウンドプロセッサによって再生される。
  • バックアップRAM:32KB ゲームのセーブデータを格納する。電源が切れてもデータが消えないようにバッテリーでバックアップされる。

それぞれのメモリ領域が特定のタスクに特化していたため、サターンは大量のゲームデータを効率的に処理することができました。

 メモリのここが凄い!

それぞれの役割で十分なメモリを搭載していたところ!

ゲームの快適な動作を実現するため、そしてリッチな視覚音楽のために、それぞれの役割で十分なメモリを搭載していました。

通信

サターンには拡張ポートと通信ポートが搭載されていました。これらは、将来的にネットワークアダプターや外部ストレージデバイスを接続するためのもので、この時点ではまだ主流でなかったオンラインゲームへの道を開くことを意図していました。

サターンの通信ポートは、専用のモデムを接続することで、ユーザーがゲームをオンラインでプレイしたり、他のユーザーと情報を交換したりすることを可能にしていました。さらに、通信ポートは、サターンのシステムをアップグレードするための手段も提供していました。たとえば、RAMカートリッジを接続することで、サターンのメモリ容量を拡張することが可能でした。

これらの通信機能は、サターンが他の家庭用ゲーム機と比較して持っていた一部の独自性を示していました。この通信機能は、サターンの拡張性と将来性を示しており、ゲーム業界全体が次世代のネットワークゲームに移行する方向を予見していました。

しかし、まだインターネットどころか各家庭にパソコンもまだ普及していたとは言い難い”1996年”での発売のため、結果的に使用されていた方は少なかった印象で、この機器もあまり売れる事無く販売終了してしまいました。

対戦ケーブル – https://www.sega.jp/fb/segahard/ss/cable.html

セガサターンモデム – https://www.sega.jp/fb/segahard/ss/modem.html

 通信のここが凄い!

モデムも対戦ケーブルも設計済だったところ!

通信対戦はまだ主流ではなかったものの、ゲームボーイのように本体同士をつなぐ構成は当時としては画期的でした。今となっては当たり前のインターネットもこの頃から接続できました。

サウンド

サウンドもCPUのように「SCSP(SATURN Custom Sound Prosessor)」とサウンドCPU「MC68EC000(11.3MHz)」のプロセッサ2基構成となっていました。

PCM音源32ch、FM音源8chの再生が可能で、今となっては当たり前ですがサンプリングすれば何でも再生できるPCM音源が使えることと、メガドライブ等の過去のFM音源のデータが扱えるメリットが非常に大きかったです。

 サウンドのここが凄い!

高級な音楽再生機能と一緒に過去のMIDI音源再生機能も持っていたこと!

PCM音源も32ch再生できたため、高級な音楽再生機能を持っていました。また、昔のゲーム機はFM音源が主流でしたが、サターンはMIDI音源も再生できたため、過去の音源データをそのまま使うことができ移植もされました。

メディア

セガサターンは、CD-ROMを採用していました。これは当時、ゲーム機のメディアとしてはまだ新しい選択肢であり、従来のカートリッジとは異なる多くの利点を持っていました。

当時のカートリッジメディアと比べて大幅に多い容量が確保でき、開発者はよりリッチなグラフィック、豊かな音楽、長時間の動画など、多くのデータをゲームに組み込むことが可能となりました。

また、CD-ROMは大量生産に向いていました。カートリッジと比較して製造コストが大幅に低く、大量に生産することが可能でした。これにより、多くのゲームが市場に流通し、セガサターンは多様なゲームラインナップを提供することができました。

実際の速度は、倍速読み取り性能のため、プレイステーションと同等の性能です。

またセガサターンでは海賊版対策のため、CD-ROMに「サターンリング」と呼ばれる特別領域が設けられていました。そのため、通常のCD-ROMの容量650MB〜700MBよりも若干少なく最大570MBの容量となっています。

 メディアのここが凄い!

CD-ROM採用で大容量を実現し、より大規模で高品質なゲームを提供することが可能になったところ!

CD-ROMは大容量のデータを格安で提供できるメディアであり、これにより高解像度のグラフィック、長時間のオーディオ、そして大量のゲームデータを提供することが可能となりました。サターンリングも搭載していたことで、海賊版対策も万全でした。

ストレージ

セガサターンは内部メモリとして32KBのバックアップRAMを搭載しており、追加でメモリーカード等を買わなくてもゲームのセーブデータを格納できました。

このバックアップRAMは電池でバックアップされており、ゲーム機の電源を切ってもデータが保持されていました。しかし、この電池が切れるとデータが失われるという問題がありました。これを解決するため、セガはオプションのメモリーカードを販売していました。このメモリーカードはバックアップRAMの容量を増やし、データの安全性を高めるものでもありました。

また、セガサターンはゲームのロード時間を短縮するためにキャッシュメモリを採用していました。CD-ROMからのデータ読み込みは比較的遅いため、キャッシュメモリは読み込んだデータを一時的に保存し、次回の読み込みを高速化する役割を果たしていました。

 ストレージのここが凄い!

本体内蔵メモリと外部メモリの二段構えなところ!

本体でゲームのセーブデータを保持管理し、オプションで外部のメモリーカードを使用することで容量拡張やバックアップとしてデータの安全性を高めることができました。

消費電力

セガサターンは、ゲーム機としては一般的な消費電力でした。サターンの電源供給はAC 100Vで、消費電力は約15Wとなっていました。これは、同じ時期に発売されたプレイステーションと比較してもほぼ同じです。

ゲーム機の消費電力は、その性能や機能によりますが、セガサターンの場合、複数のプロセッサや大量のRAM、そしてCD-ROMドライブなど、高性能なハードウェアを搭載していたにもかかわらず、その消費電力は制御されていました。これは、エンジニアリングの優れた設計と効率的な電力管理によるものでした。

また、セガサターンは低電力の待機モードも備えていました。これにより、ゲーム機がアクティブでないときにも電力を節約することが可能でした。

 ストレージのここが凄い!

高性能なハードウェアを搭載しながらも電力を効率的に制御し、待機モードでの電力節約も可能であったというところ!

シミュレーションゲームなどではつけっぱなしにすることもあったので、この頃から省電力の設計がされていたことが素晴らしく思います。

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